marthe

♡ 50代主婦の周辺 ♡

優雅な人


画家の熊谷守一を見ると父親を嫌でも思い出します。ふたりの共通点はしたいことしかしなかったことです。顔も似ています。私の家は母の実家が裕福だったので生きて来れた感じです。それも熊谷家と似ています。父は悪い人じゃなかったと思います。でも仕事が嫌いで一日中守一のようにボーっとできる人でした。人が苦手だったんだと思います。それは自分もそうなのでよくわかりますが、家族にとっては迷惑でしかない人でした。


売れるまで極貧で子供もたくさん死にましたが、守一の言っていることを読むとやっぱり生まれの良さを感じます。どこか貴族趣味というか。朝、寝床で食べるいちごと昼間に食べるいちごの味が違うとか。。。なんだか優雅です。


したいことしかしない人の暮らしは読むだけなら楽しいです。21歳で歯がなかったのは歯磨きすら面倒だったのでしょうか。自分で適当に切ったボサボサの髪は藤田嗣治がおしゃれでわざとしているのかと聞いたというので素敵だったんだと思います。歯がなかったので兵役を免れました。何が運命を左右するかわかりません。こういう話をもっと聞きたいです。不幸があってもあまりめげなくなるんじゃないでしょうか。