marthe

♡ 50代主婦の周辺 ♡

知らなかった愛の形

L'Enfant / Jules Vallès (1879)



ジュール・ヴァレスの自伝的小説「こども 」


子供が下層階級に転落することは上昇志向の強い親にとって最大の恐怖だった。そのため子供に禁欲と節制、忍耐と規律を教えることが当然の愛情だと考えられていた時代が20世紀半ばまで続いた。その代表的なものが鞭打ちで、主人公も毎朝習慣的に鞭で打たれる。その音を下の階の住人が目覚まし時計代わりにするほどだった。第二次世界大戦直後、実存主義などの哲学の後ろ盾があり、フランスでいち早く「個の解放」が成し遂げられた。


 


内容の一部を抜粋↓


ぼくはネギが大好きだった。母はまるで犯罪者の手からピストルを奪うように、ぼくの口👄からそれを奪いとった。「なんでネギを食べちゃいけないの?」ぼくは泣きながら聞いた。母は言った。「それはお前がネギが好きだからだよ」「お前は玉葱を食べなければいけないんだよ。食べると気持ち悪くなるからね。でもネギを食べさせるわけにはいかない。大好きだからね」